1/20はハンナ・アレントの『人間の条件』を読み解きます。 最近語られる民主主義や政治参加とは少し違った公共概念から、アレントの考える「人間の条件」とは一体なんなのか、そしてこれからの人間の条件とは何か、考えてみましょう。
以下、発表者の熱川さんによる告知文です。
三文会事務局OBの熱川(にえかわ)と申します。
1月20日水曜日の三文会では、ドイツ出身の政治哲学者ハンナ・アレントが1958年に発表した哲学書『人間の条件』を紹介します。
アレントは本書で、人間の活動力を「労働」「仕事」「活動」の三つに分類して従来の思想を整理し、近代には、政治の「活動」の場である「公的領域」が「労働」の場である「社会」によって置き換えられ、失われたと考察しました。政治に関する海外のレビューでは、基礎の文献としてよく引用されます。
本書で「公的領域」は、私たちが考えるよりもずっと厳しい場のように読めます。「公的領域」は、自分が誰かを公示しながら、予想ができず、取り返しのつかない「始まり」を、死をも恐れずに打ち立てる場だとアレントはいいます。
民主主義に関する議論が盛り上がる昨今、政治学の文脈では注目されない最終章の科学批判にも目を配りながら、本書の内容を追いたいと思います。
【一分間スピーチのテーマ】
民主主義ってなんだ?
【発表者】
熱川豊紘(にえかわ・とよひろ)
1986年和歌山県生まれ。東京大学文学部を経て、2012年に同大学大学院学際情報学府修士課程を修了。専門は科学・技術政策。在学中、財団法人東京大学新聞社(現、公益財団法人)に勤務。三文会事務局に出向。現在、情報通信企業に勤務。
●文献
- Arendt, Hannah, 1958, /The Human Condition/, Chicago: The University of Chicago Press.(=1994, 志水速雄訳『人間の条件』筑摩書房.)
- ――――, 1960, /Vita activa oder vom tätigen Leben/, Stuttgart: Kohlhammer.(=2015, 森一郎訳『活動的生』みすず書房.)*
――――, 1963, /On Revolution/, New York: Penguin Books.(=1995, 志水速雄訳『革命について』筑摩書房.)
アレントは1958年の英語版の後、1960年に、一部を改訂したドイツ語版を発表した。2015年には、東北大学教授の森一郎氏がドイツ語版からの新訳を発表し、2015年度第52回日本翻訳文化賞を受けた。
画像出典:http://www.amazon.co.jp/人間の条件-ちくま学芸文庫-ハンナ-アレント/dp/4480081569
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