三文会

東大周辺で毎週土曜朝に行っている勉強会です。毎週違う人の話を聞きながら、参加者と発表者が相互に議論をしあいます。テーマ、参加者ともに多様性が特徴です。※2020年3月から、オンラインで開催しています。

【2/3】アニメ「PHYCHO-PASS サイコパス」について語る

TVシリーズとして始まってから11年後の今更、昨年5月の最新作劇場公開後にこの作品の存在をちゃんと知り、それまでのシリーズ全作を一気に見終え、劇場版最新作をまだ上映中の映画館を見つけて水曜日の夜に片道80kmクルマを走らせて観に行くほどハマったので、語りたいです。

究極の管理社会となった2100年代の日本を舞台に、それでも発生する犯罪に立ち向かう刑事たちの活躍を通して、正義とは何か?社会とは、統治とは、どうあるべきか?という壮大なテーマが描かれます。このあたり、バリバリの功利主義者である発表者の心にはブッ刺さりました。

発表者にとってのPHYCHO-PASSのおもしろいところ:

・人々の性格や心理状態を監視し、全て数値化する技術及びシステムが確立されたことで、個々人の幸福のために、精神を健全に保つことを促され、日々の行動から職業や結婚に至るまであらゆる適性が合理的に判定され、それに沿った選択が推奨され、ひいては潜在的な犯罪傾向が高いとみなされた人物は強制隔離される社会を、ディストピアとして描いて「いない」。

・上記「神」にも等しいシステムが、そのシステムが抱えている不完全さをも自己認識し、自らを裁き、アップデートすることによって「神」であり続けようとする。また、日本国外にまで支配圏を拡大しようとする。いずれもシステムの保身や拡大欲ではなく、純粋に人々の幸福のために。

・主人公(の一人)が、人を信じ、人が作った法を信じ、一般には憎しみや悲しみや恨みの感情を抱くような場面でもそれらを正義感に昇華させ、少なくとも発表者には感情移入できない超人的なレベルで常に心が清らか(PHYCHO-PASS的には「色相が濁らない」)。

他にも、主人公たちが所属する公安局刑事課が厚生省配下であるとか、法務省が解体される/されないとか、外務省が武器を携帯し実力行使する部署を持っているとか、日本が食料とエネルギーの自給体制を確立して鎖国状態、からの移民受け入れとか、設定だけでニヤニヤします。

ストーリー面でも、多数のキャラクター各々の深みに立脚した同僚や親子間、対犯罪者(犯罪者とは?という問題も)の人間関係、精神的にも肉体的にも容赦ない残酷さ(この点を推すのは気が引けますが・・・)等々、魅力は色々あります。

発表の趣旨はストーリーの紹介ではなくおもしろさの共有ですが、ものの弾みでの多少のネタバレはご容赦ください。

【1分間スピーチのテーマ】

究極の社会システムとはどのようなものだと思いますか?民主主義や法の支配や人権は、実態はともかく思想としては完成形だと思いますか?

【発表者】

企業の研究所で機械系の研究開発に従事する研究者。最近なぜか社内のDE&Iや組織風土改善施策に勝手に首を突っ込んでいる。

アニオタではない。

【スケジュール】

  • 8:00~8:30、参加者の自己紹介+発表者のお題に沿ったコメント(一分間スピーチ)
    • 三文会では会のはじめに、参加者のみなさんにひとり1分程度お話しいただきます。
  • 8:30~9:40、発表
  • 9:40~10:00、参加者と発表者の感想

8:00開始は固定ですが、その他の時間は変動する場合があります。

【参加費】

無料

【参加方法】

  • 事前登録は不要です。
  • Zoomで開催します。(※事前のダウンロードが必要です。)
  • 時間になったら下記のURLをクリックし、入室してください。マイク付きイヤホンを使うとより快適です。

三文会では発表者・参加者・運営を募集しています。

興味のある方はsanmonkai.utあっとgmail.comまでご連絡ください。