三文会

東大周辺で毎週土曜朝に行っている勉強会です。毎週違う人の話を聞きながら、参加者と発表者が相互に議論をしあいます。テーマ、参加者ともに多様性が特徴です。※2020年3月から、オンラインで開催しています。

11/27【基礎発想の凄さと特許戦略の甘さ ~江崎玲於奈(トンネルダイオード)と西澤潤一(光ファイバー)】

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    現在、笠間書院「日本の凄い科学技術(仮題)」の原稿を分担執筆者として書いています。私の担当部分では、西澤潤一(元東北大学長)と江崎玲於奈(ソニーから米国IBM)の凄い実績と、それを盛り立てる我が国における周囲の総合的構想力の弱さを書こうと思います。

    大量の情報を確実にしかも高速に伝えるには光を透明なチューブに通すしか方法がありません。それがガラスを使った光ファイバーです。しかし、設置された曲がりくねったチューブから光が周囲へ漏れないようにするためには工夫が必要です。西澤は屈折率を中心から周辺部に徐々に増すという光学理論的に最高性能のものを作りました。しかし、国際特許もノーベル賞も逃しました。

 江崎のトンネルダイオードも原理的な基本特許をとっただけで応用展開特許は出し抜かれました。この素子は電子が壁を通り抜けるという量子力学基礎理論的に重要な原理でありましたが、同時に極めて高速の現象であるため高い振動数での発信・増幅・スイッチングへの応用という大変に大きな領域がありました。そのあたりの製品につながる特許は米国のものとなりました。

    これらは、本人の能力云々というより周囲がその偉大さ、応用への大きな可能性に気がつかないで、米国での高い評価に後追いしてきたという状態を指摘したいです。国際戦略的に盛り立てていく気運も弱いです。そのあたり、基礎物理/応用物理の話と関連づけて紹介します。

【1分間スピーチのテーマ】

来年2022年の目標と19年先2040年への目標を述べて下さい。

【発表者紹介】

夏目雄平(なつめゆうへい)、千葉大学名誉教授、常勤職の時は固体物性物理学を専攻しました。朝日カルチャーセンター(千葉講座)の講師などをしています。個人的には「なつめサイエンスカフェZoom」をしています。理系の著書【「やさしい化学物理」「やさしく物理」「計算物理Ⅰ」「計算物理Ⅱ」「計算物理Ⅲ」(朝倉書店)】は計28刷の「ロングセラー」になりました。文系の旅の本【「小さい駅の小さな旅案内」(洋泉社新書)など】の本も出しています。

【スケジュール】

8:00~8:30 参加者の自己紹介+発表者のお題に沿ったコメント(1分間スピーチ)
(三文会では会のはじめに、参加者のみなさんにひとり1分程度お話しいただきます)
8:30~9:40 発表
9:40~10:00 参加者と発表者の感想
※8:00開始は固定ですが、その他の時間は変動する場合があります

【参加費】

無料

【参加方法】
  • 事前登録は不要です。

  • Zoomで開催します。(※事前のダウンロードが必要です。)

  • 時間になったら下記のURLをクリックし、入室してください。マイク付きイヤホンを使うとより快適です。

    会議URL: https://us02web.zoom.us/j/89654422676?pwd=dHc0ZXpMYzRudUNtTnA3ZVdKV1N1UT09
    ミーティングID: 896 5442 2676 パスコード: 561812

三文会では発表者・参加者・運営を募集しています。
興味のある方はsanmonkai.utあっとgmail.comまでご連絡ください