お待たせしました。今週の三文会は、人文社会系博士課程 平澤歩さんより、「古代中国災異説略史」です。
「災異説」とは、災害・異変をどう解釈するかということ。中国の文化はいまも根強く、そして思わぬところで日本人に影響を与えているものです。温故知新という言葉が示す通り、古典はただロマンチックなだけでなく、新たな発見を含むものです。古典に興味ある人はもちろん、普段は触れないという人も、ぜひ一緒に古代中華文化圏の人々の考え方に想いをはせてみませんか?
お申込みは http://fromy.net/sanmon/ よりお願い致します。
以下、平澤さんより告知文です。
※三文会では発表者を募集中です。興味のある方はsanmon-core@logitoy.jpまでご連絡ください!
=== 三文会の皆様
はじめまして、平澤歩と申します。この度、「古代中国災異説略史」というテーマで発表させて頂きます(一分間スピーチは、「"古典"とは何か」、という題に致します)。
私は、現在、中国思想文化学研究室(「中哲」)に所属し、漢代から南北朝期にかけて(前2世紀~6世紀頃)の五行思想を研究しております。 五行というのは、内臓から天体まで、時刻から季節循環・王朝交代史まで、ありとあらゆる物質・観念を「木・火・土・金・水」に振り分けることにより、異なる分野の知識を相互に関連付け、世界全体を体系的に法則づけようとする思想です。 かつては、中国の思想律とも謂える発想でしたが、現在では、「迷信」という他にありません。
しかし、そのような「迷信」を研究することにより、当時の人たちが、限られた材料でどのような論理を形成したかを知ることができます。 そして、前提が不足していたり誤っていたりするからといって、それから生み出された思索が幼稚であるとは限りません。前提が誤っているが故に、現実の観測結果に矛盾せず、かつ政治的要請にも応えるために、高度な理論・計算を生み出すこともありました。 例えば、天文学では、天動説という誤った前提を元にしながらも、高度な計算に基づき、日月の周期や軌道のみならず、諸惑星の運動や歳差をも反映した、非常に精密な暦を作っていました。
今回は、五行説ではありませんが、同様に「迷信」と謂える、災異説について発表させて頂きます。ちょうど、「大震災は天罰」と発言していた人物が国政に打って出るというニュースが、世間を騒がせていますね。 この報告では、先秦期から漢代にかけて、ちょうど紀元後一世紀に入るまでの時代に、中国でどのように災害・異変の解釈がなされていたかについてご紹介致します。牽強付会といえばそれまでですが、単純に「天罰」というだけでは片付けない、天地の働きと人間との関係を模索しようとする営みについて、思いを馳せて頂ければ嬉しく存じます。
なお、一分間スピーチは、「"古典"とは何か」という題に致します。 『古典』の教科書に載っている文章が「古典」なのか? 「古典」なんて古くさいし役に立たないものが必要なのか? 「"クラシック"音楽」の「現代曲」って何? 落語の「新作古典」って何よ? 等々といったことについて、お伺いしたく存じます。
拙い報告になるとは思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
人文社会系博士課程所属 平澤歩
※三文会では発表者を募集中です。
興味のある方はsanmon-
参加費(朝食込み):学生 600円(2011年より変更)、社会人 1200円(朝食抜きの場合は、300円、600円とします)
参加連絡は参加確認フォームからお願いします。※ちなみに毎回このようなお弁当(スープ・コーヒーつき)が出ます。
朝7:40開始、9:00終了(予定)、その後も1時間ほどはフリーに喋っている人も多いです。
会場の最寄り駅は、本郷三丁目(徒歩15分)、東大前(徒歩10分)、春日駅(徒歩15分)です。本郷6-2-9のマンションの2階になります。